ディズニーランドの「美女と野獣"魔法のものがたり"」が凄かった

最近ディズニーランドに遊びに行きました。

今更ながら、ディスニーランドのアトラクション、美女と野獣"魔法のものがたり"に初めて乗りました。・・・まぁ度肝を抜かれた。

アトラクションが提供してくれる体験ってこんなもんだろう。という想像を超えてきた。
映画を観たらいつも感想を書き残しているが、これも感想を書き残しておこう。そう思うくらいには感動した。
私は映画が好きなのですが、映画(物語)と現実の境界を超える体験ができたと思う。
アトラクションの内容というよりも、アトラクションの体験について感想を書きたいと思います。

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美女と野獣に向かった時の状況

正直、美女と野獣そのものにはそれほど思い入れは無かったです。

子供のころにアニメを数回。実写版を地上波放送で1回みた程度。
キングダムハーツはシリーズ全部制覇する程度には周回している。
(むしろ作中の展開とかビジュアルはその印象のほうが強い)

ランドに入園した日。連休の中日であったこともあったのか、平日にも関わらずそこそこの混雑だった。
今はアプリで各アトラクションの待ち時間が確認できるのだが、美女と野獣アトラクションは朝一でも60分オーバー。
ファストパスって無いのか、とか、課金パスも時間制限があるったのか。とか、ノウハウ無く戦略も練れず。

結局18時くらいになって、こりゃもう正面から挑むしかないと、130分待ちをキメました。

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Qラインで物語と現実の境界を越えた

ビーストキャッスル外の長蛇列の最後尾に並んだ。
時刻は19時、気温14℃、風あり。

体感1時間ほど冷たい風のなかで過ごしたが、ここの進行はアホかと思うほどに遅く長かった。ライドは常に動いているんだから絶え間なく人は履けている筈なのに、なんでこんな牛歩なのか不思議。

列が進んで、門を超えたあたりからは、もう内装にテンション上がりあっという間だった。
古風な城内。家具になった家来たちのすまし顔。「あっしらはただの家具でっせ」と、すっとぼけムーブをかましている姿が可愛らしい。パシャパシャカメラで撮りまくり。

外とはうって変わって物語世界のおもてなしが良い。自発的にビーストキャッスルのディテールを楽しみたくなる。現実世界との別離が始まっていた。

ポット婦人とカップの坊やの写真を撮っているあたりで、前のグループが先に進み居なくなっていてハッとした。
後続も追いついていなかったからまぁ許して。

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そして通された、有名なビーストキャッスルのエントランス。
ホーンテッドマンションでいう「部屋が伸びているのか?それとも諸君の眼の錯覚なのか?」といったゲストの関所。
キングダムハーツ2で何度も繰り返しハートレス、ノーバディをしばいた"あの場所"でワクワク。

左手にベルの居住空間。右手に決して立ち入れぬビーストの聖域。そして鎮座している薔薇。

ステンドグラスで語られる事の始まり。美女と野獣を知らん人にも最低限のストーリーをインプットしてくれる。

広い空間と照明により誘導される視線。リアルに現れるベルとビースト。その衝撃ときたら。どうしても実物として目の前にした時の説得力は半端ない。
視界を左右に振る範囲での掛け合い、まだスクリーンの前で映画を観ている感覚に近い。

今思えばここが、ゲストと物語との境界が曖昧になるスタートラインだった。
具体的には、自分の視線が"魔法のものがたり"を映しとるカメラマンになっていような瞬間だと思った。
ベルとビースト、それを観測するゲスト。「このおとぎ話の結末を見届けなくては」と、無意識にインプットされてしまった。

そのあとの後半Qラインは、もう前半とは雰囲気が違う。
キャラクターたちの面影、痕跡がいきいきと感じ取れる。もう物語と客席の間にあったスクリーンに踏み入れて境界を越えてしまったからだ。

ライドが視界をスクリーンに変えた

ティーカップをモチーフとした10人乗りのライド。それが6台。一度に60人が同じ空間でアトラクションを進んでいく。

ティーカップひとつの中では、前列4人、後列6人と変わった形の座席配置だった。
ティーカップだから円形なのに、全員が同じ方向を向いている。
床にレールはついておらず、タイヤなのかローラーなのか謎。別アトラクション「プーさんのハニーハント」と同じような仕組みなのだろうか。

キャストに見送られ、音楽とともについにライドが動き出した。これがまた予想もつかない動きだった。
進行方向も向きも自在。地面は平行なのにカップ上の床の傾斜が変わり、回りながら揺れる。

この仕掛けによって、ゲストに何を見せて、何を見せないのかコントロールされている。

ダイニングでの"ひとりぼっちの晩餐会"。場外でベルとビーストが心の距離を近づける様子。村人の強襲。フィナーレ。

ライドの動きと音楽がシンクロし、ワルツを踊っているような感覚。

城外の場面では、ベルとビーストは離れて居て、視界に入りきらない。ふたりの心の距離感が現れていてとても良い。
ベルやビーストに寄ったり離れたり、首をまわして周囲を見る。

フィナーレのダンスホール、手をとりあう二人の周りをゲスト全員で祝福するように踊る。
見上げると"あのシャンデリアと天井に描かれた絵画"映画で観たあの名シーン・カメラワークが、そのまま自分の五感で入り込んできた。

ライドの動きと自分の視線が、ズームイン・アウト、ドリー、パンしている。
自分の眼がカメラになって、視界がスクリーンになっていた。

それによってもたらされる、物語の中に入り込んだ感覚。これが他のアトラクションとは別格な理由だと思った。永遠に続いてくれと感じた。

暮れていく夕陽とともに物語も閉じられる。
余韻を残したまま退場していく60人、みんなぽっとした表情で口々に感想を述べあっていた。高揚感で一体となって城外に出ていきました。

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体験型アトラクションとVR

振り返ってみて、技術の進歩とともに、こんな予想を超えてくれる体験を提供してくれるアトラクションが増えていくこと自体が嬉しくなってくる。

このゲストを物語の一員にするノウハウは、VRコンテンツでも活かせるのではと思った。
VRの映像コンテンツは、没入感と視界のコントロールの難しさがあって、そこがジレンマになっている様に思っていた。美女と野獣のアトラクション体験は見事に成功させた。
観客側の自由は奪わず、でも見せるもの、見せたいもの、見せないものを制御する。
ディズニーが、アトラクション製作で培った技術を活かして作ったVRコンテンツが登場してきたらとても楽しみ。


以上、美女と野獣アトラクションの初体験感想でした。
ディズニーってやっぱ凄いなぁ。